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新人総務と学ぶ!総務・人事のキホン

社内研修と社外研修の違いとは?

社内研修と社外研修の違いとは?

総務人事の基本を学ぼう!

新人の総務・人事「田中 結士」が抱えるさまざまな悩みを、コンサルタント「西條 充信」先生が解決します。
総務・人事のプロとして成長するために必要な知識を、一緒に学んでいきましょう!

登場人物

田中 結士(たなか ゆうし)
社会人歴2年目で総務部に所属している人事・総務担当者。社内改革プロジェクトのメンバーに選ばれ、離職防止やモチベーションアップの方法を探している。

西條 充信

西條 充信(さいじょう みつのぶ)
経営と人事のコンサルタント。 自ら起業し、長年、経営をしていく中で、様々な外部環境の変化に立ち向かい、失敗と成功をしてきた。その中で学び得た実践的な仕組みづくりと、わかりやすいノウハウを提供している。

登場人物や設定は、経営と組織改革の様子を描いたWebドラマ「強くて良い会社」と連動しています。
視聴されていない方は、ぜひ一度ご覧ください。
Webドラマ「強くて良い会社」特設ページへ

研修には「社内」と「社外」がある?

田中 結士

西條先生、こんにちは!

前回は、ありがとうございました。(※1)
おかげさまで「セミナーと研修の違い」がよくわかりました。

西條 充信

こんにちは!
お役に立てて嬉しいです。

※1:前回の記事「セミナーと研修の違い」はこちら

 

田中 結士

今、社内研修体系を見直しているのですが……

「社内研修」という言葉がある、ということは、「社外研修」もあるということですよね。

研修を実施する場所の違いでしょうか?

西條 充信

田中さん、前向きに取り組んでいるんですね。
何かで調べてみましたか?

田中 結士

はい、流行りのAIで調べたら、

「社内研修と社外研修は、どちらも社員のスキルや知識を高めるための教育ですが、実施場所・講師・目的の範囲などに違いがあります…」という解答でした。加えて、コストはどちらが安いとか、異業種の人と交流できるとかのメリットなどが表で示されていました。

でも正直、わかったような、わからないような、そこが知りたいわけではないような…モヤモヤしています。

 

 

西條 充信

そうですよね、私もそのモヤモヤ、わかります。

正しい答えを言われると「確かに、その通りですね」で、終了。これ以上、考えない。

結局、自分が納得し、理解して生み出した答えではないので、モヤモヤが残りますよね。

田中 結士

はい、まさにそんな感じです。

西條 充信

では、ゴール「社内研修体系の見直し」に役立つように、一緒に考えていきましょう。

 

「社内研修」と「社外研修」は場所の違い?

西條 充信

まず言葉を揃えましょう。

「社内研修」や「内部研修」は『社内研修』に統一。

「社外研修」や「外部研修」は『社外研修』という言葉で統一して使います。

田中 結士

はい。

西條 充信

大事なポイントや「どちらを活用すれば良いか」の決め手は後で説明しますので、まずは田中さんが気になっていた、「場所」についてお話します。

田中 結士

ありがとうございます。

 

 

西條 充信

例えば「社内研修」は、社内の役職者やリーダーが、社内の会議室や自社施設で実施する研修です。

逆に「社外研修」は、外部講師や専門家が、研修会社のビル内、ホテルやレンタル会議室で実施する研修、という感覚で考えられている人が多いと思います。

田中 結士

はい。

西條 充信

ところが、社外から専門家の講師や有名な講師を社内に招へいして、自社の会議室で研修をしてもらうことはありませんか?

逆に、経営陣や上司が研修講師役になって、社外のホテルを借りて研修をすることもありますよね。

田中 結士

あります。

ああ、ということは、場所と講師の社内外の違いだけでは、説明ができないということですか。

西條 充信

はい。

場所と講師が、社内か社外かの研修の違いを示すわけではないということです。

田中 結士

なるほど!

先ほどまで感じていたモヤモヤが解決しました。

それでは、社内研修と社外研修は、どの様に使い分けたら良いのでしょう?

西條 充信

OK。

その理解のためにも、一つポイントがあるので、先にお伝えしますね。

なぜ、社内に外部の講師を招へいするのか?

逆に、なぜ社内の講師なのに、社員を収容する会議室もあるのに、わざわざ外のホテルでやるのか?

田中 結士

きっと何か意味がある、ってことですよね。

西條 充信

その通りです。

場所や講師は、ある意味、ひとつの「手段」であって、その手段を使う意味、つまり、上位に目的があり、その目的が「社内外」を分けるポイントになっているのです。

田中 結士

なるほど。目的があって、手段があるのですね。

つい担当者として、視野が狭くなって手段ばかりが気になっていました。

西條 充信

大丈夫。よく理解されていると思います。

さて、その目的を含め、一体、誰が考えた研修の企画なのか?が総務・人事が理解しておくべきポイントなのです。

「社内の人が企画した研修」が「社内研修」、

「社外の人が企画した研修」が「社外研修」ということです。

 

 

田中 結士

つまり、研修会社が企画したものは、社外研修ですね。

それでは、社内の人が目的など考えて企画した研修で、研修会社や専門家と一緒にプログラムを考え、ホテルで研修を行った場合は、たとえ講師も場所も社外だとしても、「社内研修」という理解で合っています?

西條 充信

はい。私はそのように考えています。

会社にパンフレットや企画書が届いて、「たまには会社の外で学んで来なさい」というような、研修会社が企画したものに参加する場合は、「社外研修を受講した」と考えて良いでしょう。

田中 結士

結局、企画次第ということなのですね。

例えば、ホテルで社内研修をする場合は、「日常の仕事から離れて、研修に没頭させたい」とか「重要な内容だから集中して学んでほしい」というような目的があるからなんですね。

研修を企画する時に気をつけることは?

田中 結士

それで..先ほど言われていた決め手は何なのでしょう…?

西條 充信

それが、「目的」が関わってくる話になるのです。

田中さんは、生成AIが作った解答にモヤモヤしていたと言われていましたが、恐らく「どちらも社員のスキルや知識を高めるための教育」この部分にもモヤモヤしていませんでしたか?

田中 結士

確かに。

今、その部分を改めて聞いても、モヤモヤします。

西條 充信

実は、この部分に注意しないと、せっかく研修を企画し、受講してもらっても、生産性が上がらないどころか、かえって大きなトラブルや反発をまねいたり、最悪のケースでは、退職につながったりすることもあるので、気を付けないといけないのです。

田中 結士

それは、怖そうなお話ですね。

西條 充信

結論から言いますと、「(社内外の研修は)どちらも社員のスキルや知識を高めるための教育」と言われていますが、

本当に、目的に合った研修内容になっているのか?

ここが社内研修体系の大事な決め手になるのです!この点が明確になると、そのモヤモヤが消えます。

田中 結士

具体的にはどういうことでしょうか?

西條 充信

失礼しました。少し熱く先走ってしまいました。

「目的」は、生成AIの解答の通り「社員のスキルアップ」は当然です。そこでとどめずに、目的を社内・社外で明確にしないといけないのです。

自社内でのスキルを高めたいのか?それとも社内に無いスキルを社内で生かせるようになりたいのか?など考えねばならないのです。

 

 

田中 結士

確かに以前、デジタル人材が少なかったので、数名が選ばれて、デジタル人材6ヶ月オンライン研修を受講していました。

西條 充信

そうです。オンライン研修も含めると、もう場所はどこでも受けられるわけですから、改めて場所が決め手にはなりませんね。

社内に無いスキルを社内に持ち込むためには、研修会社が提供している社外研修が有効です。

田中 結士

私も、社外研修を受講したことがあります。

西條 充信

社外研修は、一緒に受講する他社の人との交流から、社内では得られない視点や人脈を手に入れられるのが良いところですね。

田中 結士

なるほど、視点と人脈ですね!

沢山の人が集まった緊張感ある場で、専門家の方からお話を聞けるのも、刺激になり楽しいです。

研修が逆効果になる3つのケース

西條 充信

モチベーションが上がるのは良いことですね。

しかし、研修の内容が自社の方針と合っていないと、学んだことが逆効果になることもあるんです。

ここでは、3つのケースをご紹介しますね。

① 社外研修での目的と学びが、自社の研修派遣の目的や理念、社風や現状に合っていないケース

こうした場合、トラブルになることがよくあるのです。

田中 結士

そういえば、
先輩が社外研修を受講後、急に「うちの会社のやり方は古い」「上司がダメだ」「他社の方がいい」とか、会社に対して批判的になり、問題になっていました。

西條 充信

社外研修の目的を理解しないまま派遣すると、田中さんの言われたようになることもあるんです。

次のケースですが、
②受講中に社外秘が漏れてしまうケース

社外研修の中には、半年くらい続くものもあります。受講生同士も仲良くなります。そういう際に、つい「自社の話題をする」ことがあるのです。

田中 結士

確かに、仲良くなると仕事の相談もしたくなります。

西條 充信

何ヶ月も一緒に学んだ受講生同士が、友人のように気を許してしまい、ディスカッションの時などについ社内情報を漏らしてしまうことがあるのです。軽口のような愚痴や社内批判もあるでしょうが、経営計画や財務情報が流出する場合があるのです。

研修受講生同士は、特に守秘義務を契約しているわけではありません。契約をしていないケースがほとんどです。ここが情報の抜け穴になっているのです。

田中 結士

私も、もしかしたら知らず知らずに話してしまっていたかもしれません…。

西條 充信

意識があるのなら、大丈夫でしょう。大抵は無意識に話してしまっていることに気づかないのです。

最後に、3つ目のケースです。

これがもっと大きな問題です。

③親しくなった他社の受講生が、派遣した自社の社員を引き抜いてしまうケース

私もいろんな経営者の方々から何度も聞きました。

田中 結士

ええっ!?今、人手不足で困っているのに、これは痛いです。

 

 

西條 充信

少し怖い事例もお話しましたが、社外研修の場合は、その研修の目的や内容を研修会社から十分に説明を聞き、自社の理念や方針に合っている内容か?

また派遣する受講生についても、研修派遣を多面的に検討した上で派遣する、ということが大切なのです。

社内研修で注意するポイントは?

田中 結士

最適な社外研修を選ぶのって、複雑で大変ですね…やっぱり社内研修の方が安心な気がしてきました。

もしかして、社内研修についても、注意すべきポイントがありますか?

西條 充信

はい。

まずは、社内研修にも2つのパターンがあります。

A:社員が講師になるパターン 

B:外部講師を社内に招くパターン

です。

田中 結士

私のイメージはAです。

西條 充信

Aの場合は、社員が講師になるため、講師を依頼する費用や段取りが不要です。

また、講師役を務める担当社員の成長も期待できます。

田中 結士

人に教えるとなると、相当予習して準備しないと自信もって話ができませんから。

西條 充信

それが良いのです。ただし、色々と気をつけるポイントがありますよ。

田中 結士

気をつけるポイント、なんでしょう?

西條 充信

まずは、コスト面。

田中 結士

社内研修の場合は、コストは抑えられるのではないですか?

西條 充信

実はそうでもない場合も多いのです。

研修担当者になった人は、受け持った研修のために色々と調べたり、資料を作成したり、練習したり、準備が必要ですよね?

研修の準備時間を確保するため、通常業務を圧迫したり、時間外業務が発生したりすると、その分、人件費がかかったり、チームに負担がかかったりするかもしれません。

研修講師ができるような人材は、社内にそう多いとも思えません。また、いたとしても、講師ができる見本のような社員は、仕事で相当忙しい、あるいは仕事や売上を抱えている人の可能性もあり、相当な負担になります。

田中 結士

確かに……新入社員教育をしてくれた先輩は大変そうでした。

西條 充信

さらに、一番大変なことは、講師役の人が研修講師役を終えた後も、受講した社員からずっと「講師」として見られてしまう、という大変さ、息苦しさもあるのです。

例えば、社会人マナーの講師を担当した人が「挨拶は丁寧にしましょう」と言いながら、本人が忙しい時の挨拶がいい加減だったら、受講生はどう思うと思いますか?

「講師が言っていたことを、講師自身が守っていないんだから…」と思いますよね。

田中 結士

講師が教えてくれたいろいろなことが、ガラガラと壊れていきそうです。

西條 充信

でも、常に挨拶を意識しながら仕事をするのは大変ですよね。

そういう意味で、講師担当者は常に緊張感をもって職場で勤め続けなければならず、ストレスがかかってしまうんです。

田中 結士

確かに…。講師は、会社の現状として、社内の人間ではない方が良さそうだと思いました。

西條 充信

ですから、社内研修も、社内の人間だけでやろうとすると、どうしても難しい部分があるのです。

それが先ほどの「B 外部講師を社内に招くパターン」です。

社内の人間が企画し、外部講師に指導を任せるのです。

 

 

田中 結士

なるほど、これは社内研修体系づくりの参考になります。

「新入社員研修くらいなら、社内の人間で、できるよね」みたいな、安易に考えて社内研修体系の見直しをしてはいけないんだな、と気づきました。

西條先生、これからもアドバイスをお願いします!

西條 充信

もちろんですよ!

社内研修体系は、ポイントを押さえているかどうかで、全く生産性が変わってきますからね!

一緒に作っていきましょう!

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