人手不足を解消するコミュニケーションの打ち手
データで見る人手不足の状況
昨今の企業における人手不足問題は、最も深刻な経営課題の一つです。
中小機構が行っている「中小企業景況調査(2024年7-9月期)調査結果)※1」の「従業員数過不足DI※2」を見れば、年々、人材不足感が強まっていることがわかります。
※1引用元:
https://www.smrj.go.jp/research_case/survey/fbrion0000002oup-att/177_10_point_C1.pdf
※2:DI=Diffusion Index(ディフュージョン・インデックス)の略。企業の業況感や設備、雇用人員の過不足などの各種判断を指数化したもの
この図のトレンドから、この先もしばらく、人手不足の傾向は続く、と見てよいでしょう。このような状況下においては、人手不足解消のために、「採用と定着・離職防止」対策が必須になります。そのため、多くの企業では現在、人材の確保、人材の定着率向上のため、社員のエンゲージメントを向上する施策に取り組んでいるようです。
多くの企業で、何らかのエンゲージメント施策は打っているよう
このデータは、中小企業白書に掲載されているものです。しかし、企業の大小によるデータの差は多少はありますが、人の問題は、企業で働く人に共通に言えることであり、ある程度、大企業においても同様の結果が言えるのではと思います。
ただ注意すべきは、このデータの選択肢自体、抽象度の高いもの(例:社内コミュニケーションの活性化)から、具体策に近い選択肢(例:従業員満足度・エンゲージメントの調査)もあり、選択肢の粒度のバラつきが大きいように感じます。
経営界で流行しているワードをピックアップして並べた感はぬぐえませんが。
このデータでは、1位、2位が、「社内コミュニケーション」「上司・部下間のコミュニケーションの円滑化」になっています。
「コミュニケーションの活性化」を回答された方々は、コンプライアンスやハラスメント対策、コロナ以降の価値観の変化、1on1の運用法、デジタルツールの活用やハイブリッドワークによるものなど、最近話題になっているコミュニケーションの課題もあれば、普遍的なテーマでもある世代間ギャップや基礎的な報連相の問題などを意識して回答した方々も含まれているのではと思います。
コミュニケーションの問題はこのように多岐にわたるものであり、自社内での課題感の順位も、上記のデータとは異なるかもしれません。
しかし、それでも多くの企業で、人材不足解消のため、企業はエンゲージメント向上の施策として、コミュケーション対策は、課題の一つに挙がっているのでしょう。
※引用元:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/chusho/b1_4_4.html
打ち手を「打つ」で終わっていないか
実際に、これらの課題に関しては、経営陣、経営企画室、人事、総務関係の方々、皆様が悩まれていることと思います。そこで、これらをどのように解決・解消していくか、という局面に立った時、皆様は、どのようなことを念頭に置いて取り組まれているでしょうか。
私が、多くの企業との関わりの中で感じるのは、各担当がそれぞれの役割の中で解決策を打つのも大切ではありますが、狙った数値目標や行動改善がなされたとしても、その「点」だけの解決で終わっていることが少なくない、ということです。
つまり「手立てによる目標は達成した。しかし残念ながら実感としてはあまり変わっていない」という状況になりかねない、ということです。
なぜそのような「オチ」になってしまうのでしょうか。
それこそがいわゆる「木を見て森を見ず」のことわざの通りです。
(「木を見て森を見ず」とは、「物事の細かい部分にこだわりすぎると本質や全体像を見落としてしまう」ということを意味する表現)
木についての手立てを講じ、その木自体の問題は解決したが、全体的な解決に至っていないのです。
ある会社の事例
理解を深めるために、一例を挙げます。ある企業では、離職率が高い傾向があったため、「従業員サーベイ」「1on1」「社内イベント」「ハラスメント研修」など、手立てをしっかり打っていました。何もしないよりは効果があったと思いますが、やはり、なかなか離職率が下がらないのです。
その企業での手立ての打ち方は、
「社員が退職した」という課題であれば、一つの課題に対して、一つの解決策を打っていたのです。
その社員にヒアリングした結果、
「職場で、認められていないように感じた」というコメントだったため、「一人ひとりを承認する場を設けよう」と考え、
→「サンクスカードを導入しよう」
→「お誕生日はケーキで祝おう」
→「懇談会を経費で補助しよう」…
こういう対策の仕方をしてしまっていたのです。
取り組めそうなことは実践するが、これでは課題の一部の解決策にすぎません。自部門が関わる課題のみを注視し、その解決手段を探してしまうと、このような木を見る解決策になってしまうのです。
だからと言って、課題の原因を、「社風」「組織」というような、抽象度の高い表現で捉えても、結局どうすればよいのか把握しきれないため、解決に至らない。
真に解決したい場合は、
まず「その森全体がどういう森になっているか?
どういう気候で、
立地で、
どのような樹木が茂る森なのか」、
つまり自社においての現状を捉え、将来像を明確にすることで、課題が浮き彫りになり、機能する有効な手立てが見えてくるようなる、ということです。
DREAMIXソリューションのご紹介
「木を見て森を見ず」にならないよう、森を見るためにどうすればいいのか。
DREAMIXでは、全体設計図の作成をご支援します。
今までバラバラだった手立てを整理し、シナジー効果の高い仕組みづくりを行います。
< 全体設計・戦略策定サービス >